INTERVIEW
スタッフ座談会
INTERVIEW
スタッフ座談会
進化を続ける滝善の、
創業100年の歴史とこれから。
各セクションの代表メンバーで座談会をおこないました。
社内にいると「自社の良いところ」を
見つけるのは難しいものですが、
部署も社歴もバラバラなメンバーにもかかわらず、
「滝善の強み」が次々と飛び出す、
賑やかな座談会になりました。
MEMBER
座談会メンバー
K.M
販売(海外)
K.T
製造開発
(生産管理)
N.M
製造開発
M.J
販売
K.C
製造開発
01
普段はどんな業務を行っていますか?
M.J
主に私たち営業(販売)がお客様に糸の提案をしに伺い、お客様が納得できる素材を見つけられるまで綿密に打ち合わせを行います。「どんな編み地になるかイメージが付きにくいな…」という際は、製造の方に頼んで、新しく編み地のサンプルを作ってもらうこともありますね。
K.T
それらのご要望を受けて新しい糸を開発するのが、製造開発の担当者ですね。それ以外にも、年に二回は新作のコレクションを出しています。お客様ベースで考えたものと、社内で企画したオリジナルのものの二軸で糸を作っている形です。
K.C
一年間を通して、各シーズン100くらいは出しているのかな?その中からさらに厳選された一部だけが商品化されていますね。
N.M
作るものは本当に幅広いですよね。プレーンなものだったり、ちょっとアレンジしたものだったり。自分は編み地を作る担当なので営業の方から直接依頼を受けることが多いですが、現場のニーズは本当に多種多様だと感じます。
M.J
取り扱っている素材の種類が多いからこそ、お客様からいろんな要望をもらえているとも言えますね。「この糸のこの色を編んだらどうなるか見たい」とか、細かなリクエストを頂くことも多くて。編み方も天竺やガーター…ああ、他社の糸で編み地を作って持っていくこともありますね。やっぱりお客様が満足できる形が一番だと思うので、臨機応変にサービスを提供できたらと思っています。
02
自社の強みや特徴は何だと思いますか?
K.T
先ほども少し話が出たけれど、幅広くいろんなものを作っているところかなと思います。
M.J
オールマイティですよね。
K.T
だからお客様に頼られても応えられるんだろうね。
K.C
求められたときに応えられる力があるってことですよね。編み地の見本をすぐに作ってお出しできるところも強みだと思います。これは、協力会社さんの存在も大きいですね。
K.M
100年の間に積み重ねたノウハウがあるから、いろんなことができるんですよね。今までになかったものを作るときも「どうすれば作れるか」をスピーディーに考えられるし、お客様に提案もできますよね。
M.J
僕は、前の会社も同業だったんですが…メーカーではなかったので素材の多くは他社に作ってもらいました。でも、うちはメーカーだから、今はお客様に対して「新しく作る」という選択肢が出せるんですよね。A、B、Cのどの糸がいいですか?と聞いて当てはまるものがなかったら、「じゃあ作ってみましょう」と言えます。
K.C
その「A、B、Cのどれにしますか?」という段階で選択肢が多いのもいいですよね。色付きの糸の在庫が豊富にあるところ。糸を染色した状態で持てるのは、キャパの広い自社倉庫があるからだと思います。おかげで、お客様に素早く提案ができていいなぁと。
K.T
在庫を持てるということは、リスク管理もできるということだからね。自社倉庫のキャパもですが、市場のニーズに対する知見があることの証明でもあるかと思います。円滑なデリバリーも、豊富な在庫があってこそのサービスなので、充実した染め糸の在庫は強みのひとつですね。
M.J
ストックの半分以上は何らかの色で染めてありますよね。染める前のもののほうが当然リスクがないけど、お客様に提案するスピード感は下がります。なので、営業としてはすごくありがたいです。
K.M
その中でも、SDGsに配慮した素材をしっかり持っているところも特徴ですね。
たとえば、美濃和紙とポリエステルを撚糸した糸とか。美濃和紙は土に還るけど、ポリエステルはそうじゃない、というのが過去の常識でした。でも、生分解するポリエステルが開発されたことで、撚糸していても環境に配慮することができて。
正直「ポリエステルが生分解するなんて」という驚きはありましたけど、形になれば画期的だと感じて着手したという経緯があります。
K.T
その「美濃和紙を使った糸」も今ではいろんなところに普及しているけど、最初に着手したのは滝善なんだよね。 こういった、時代に先立つ開発もおこなってますね。新しいものへのチャレンジに貪欲というか。サステナブルな製品にいち早く取り組んだのも、そういう社内の気質が起因しているかもしれない。好奇心旺盛で新しいものが好き。そこから開発していく力もきちんと持っている。
K.C
毎月一回の企画会議をおこなったり、原料メーカーの方に来ていただいて勉強したり、逆に工場を見学させていただいたり。業界の情報をいち早くキャッチしようという風土がありますよね。
K.T
それができるのも、滝善を信頼して長くお付き合いしてくださる協力会社様がいるからだね。撚糸や染色などを担ってくれる工場さんとの繋がりが、日本各地にあって。素材に合った染め方ができるので、妥協せずにいいものを作れるんですよ。今後もその関係性を大切にしていきたいですね。
03
製造開発にあたって
大切にしていることはありますか?
N.M
とにかく情報収集と勉強ですね。市場の流れやお客様の声、原料メーカーの方とのコミュニケーションなどから、常に情報を入れるようにしています。定期的にアパレルブランドの店頭に行って商品を見たりもしますね。「こんなものをうちで作れたら」「さらに改良するなら」というところから考えるのは楽しいです。
K.C
糸を作るのって本当に難しくて、原料についての豊富な知識が必要なんですよね。新しい糸を提案しても、それが編めるのか、染められるのかを考えなきゃいけなくて。
自分はまだ勉強中の身なので、営業の方の素材提案に同行したりして、とにかく知識をつけている最中です。やっぱり生の声って大事だなぁと思います。
K.M
詳しい人は技術的な面から検討できるんだよね。でも、勉強中の人は消費者に近い視点で提案できるという強みもあると思うよ。「こういうものが欲しい」「こういうものを最近よく見る」という視点と、ベテランの技術的な視点、両方あっていいんじゃないかな。
K.C
せっかくなので、その視点からトレンドも加味して、「今までの滝善にはこんなものなかった!」と言われるものを作りたいですね。
K.M
やっぱり新しいものを作っていきたいよね。だから、常に勉強し続ける姿勢って本当に大切で。 昔の原料がずっと先まであるわけじゃないんです。かと思えば大昔から変わらないものもあったり、もちろん新しいものも出てきたり。「これと同じものを作りたいけど、もう原料がない…」となったときに、「新しいものに置き換えるならどれを選べばいい?」と考えるために、知識は必要不可欠ですね。
N.M
昔のものをリバイバルしたりとかもありますよね。
K.T
100周年記念に作った糸がそうですね。何かインパクトのあることをやろう!と専務が企画して。自社には、1960年の横編みニット創成期の頃からの資料や編み地が残っているので、それらを見ながら検討ができたんだよね。
K.M
「やってみよう!」と思ったときにチャレンジできる土台があるってことですよね。お客様にいろんな提案ができるということ、自社の知見を新しいものに活かすということは、ずっと意識して取り組んでますね。
私は海外のお客様とやりとりしているんですけど、すでにあるものやマネされやすいものを作っても意味がないなと思っています。日本ならでは、滝善だから作れるものがお客様に喜ばれます。なので、温故知新、歴史ある会社の良さを活かした開発は、皆さん意識されているところだと感じますね。
04
営業として大切にしていることはありますか?
M.J
お客様としっかり対話することですね。何が最終目的で、どういうものが作りたいのか。
完成形のイメージとして「これを作りたい」と、特定の素材を指して「これを使いたい」というご要望があったとして、両立が難しいとき、目的がどちらなのかをしっかりヒアリングします。完成形を優先するなら素材を変える、素材を優先するなら完成形を修正して頂く、ということですね。
そういう提案のために編み地を持っていくんですが、Nさんたちにいつも「明日までに欲しいです!」と無理を言ってしまって申し訳ないな、ありがたいな、と思っています…。
N.M
こちらとしても、営業さんの声はありがたいです。社内にいるだけだと、わからないことはすごく多いです。むしろこちらが「ありがとうございます」という気持ちですね。
M.J
製造工程の方々がこうして支えてくれるから心強いですね。
お客様はもちろん、エンドユーザーにも喜んでほしいです。ブランドのファンの人達にとって一番良いものを…と考えているのは、僕たちも同じです。「どうやったら多くの人に手に取って喜んでもらえるか」を一緒に考える、そのためにお客様の小さな声にも耳を傾ける、ということを意識しています。
K.M
そんなふうに私たちが懸命に取り組んでいることを、お客様もしっかり見てくださっているんだな…と感じることもあります。
最近の意見では、「滝善はキレイなカラーカードを作ってるね」と言われるんです。今までは気にしてなかったけど、若い人の意見を取り入れて、見栄えの良いパターン紙にのせてお客様にお見せすることにしました。ちょっとした気遣いだけどとても好評なので、こうした細やかな思いやりは大切にしています。
K.T
完成品に近い形を見たいというニーズが多いから、そこがイメージしやすい編み地は喜ばれるよね。お客様の意見に応える形でいろいろ改善しているけれど…たしかに小さいことだと感じるかもしれないけど、こういうお客様対応も自社の強みじゃないかな。
05
今後の目標や今抱えている課題などはありますか?
K.C
とにかく知識をつけることです。何を求められているのか、わからないこともまだ多いので、自信を持ってお客様にご提案できるようになりたいです。
あとは、ヒット商品を出したいですね!見たときにワクワクするものを作れたらいいなぁと思います。
K.T
市場のニーズはどんどん新しいものになります。僕は業界に三十年近くいるけれど、日々勉強ですよ。今まで通りのやり方に甘んじてはいけないと思っています。
保守的になると、発展することはありません。安全策を取りたい気持ちはあるけど、そうするとおもしろみがなくなります。社内外を問わずさまざまな意見を取り入れながら、滝善というひとつの企業として、常に発展し続けていきたいですね。
個人的には、自分が知っていることを若い人に伝えていくという目標があります。こちらの知識や考えを知ったうえで、凝り固まった考えを否定してほしいです。新しい切り口で、新しいものを作っていってほしい。その後押しができたらと思っています。
M.J
変化が激しい業界です。ニーズやトレンドという意味ではもちろんですが、製品を作る工程においても大きく変化します。原料の調達についてとか、その年の気温による調整とか。いろんな要因があるからこそ、スピード感を持って対応していきたいです。当然、大変なことだとは思いますが、負荷をかけられたほうが成長に繋がると思うので…難しいことに挑戦しながら、進化し続けたいですね。
N.M
僕は、前任から引き継いで、学んでいる最中です。まだできていないところを潰していって、レベルアップしていきたいですね。
それから、市場のニーズをもっと勉強したいと思います。需要にリンクしたものを作りたいんです。実際に売り場へ見に行ったり、ミーティングに参加して意見を出したり、積極的に取り組めたらと思います。
K.M
ファッション業界は華やかに見えますが、その一方で、糸づくりは地味で堅実な世界です。でも、最後はその華やかな世界に繋がっています。ご年配の職人が一人で黙々と作っているものが、世界的に評価されるコレクションに使われていたり…ということも少なくありません。これって、すごいことだと思うんですよね。
会社として、日本だからできるもの、世界に評価されるものをもっと作っていけたらと思います。特に、サステナブルな糸に関しては、海外のほうが規準が厳しいんです。その規準を満たせるような、質の高いものづくりがしていきたいですね。